貴方の愛に捕らわれて
猛さんは自分の所為だって言うけど、それは違うと思う。
だって藤野さんをあんな風に煽ったりしなければ、きっとこんな事にはなってなかった筈だもん。
それよりも、猛さんがいつだって私の事を考えてくれてる。それが分かって今回のことは怪我の功名だったかも。
『今回の事は誰にも予測できなかった事故です。けど、例え予測出来てたとしても、猛さんの側から離れる気なんて有りませんから。
一晩入院してはっきり分かっちゃいましたから。私には帰りたい場所があるって。
今までそんな風に思ったこと無かったんだから、ちゃんと責任とって下さいね』
そう言って大きな胸にピトリとくっ付けば、しばしの間、流れる沈黙。
そして次の瞬間、猛さんの太い腕が腰をガッチリと拘束し、もう片手の手で後頭部を固い胸元に押し付けると、私は逞しい腕の中にすっぽりと収まる。
「……ああ、お前が帰ってくる場所は此処しかねえ。
お前がどこかに行っちまっても、絶対に見つけて出して連れ戻してやるから安心しろ」
ねえ、猛さん。
少しでも貴方の側にいたいから、一生懸命貴方の後をついて行くわ。
だから、もしも……
もしも私が迷子になったら、貴方の愛で捕まえて。
約束してね、猛さん。
fin