貴方の愛に捕らわれて
また次の日も砂浜にくれば、昨日と同じ様に男の人が居た。
お互いに言葉を交わすことはなかったけど、その人は私の歌を、ただ黙って聴いてくれているようだった。
毎日現れるようになったその人に、人見知りの私も自然と慣れていった。
気がつけば、そんな事が2週間ほど続いていた。
いつの間にか私は、彼に会えることが楽しみとなっていた。
10月の終わりともなれば、夜は冷え込むようになった。
『クシュン…』
「寒いのか?」
小さなくしゃみをしたら、突然声を掛けられた。