貴方の愛に捕らわれて
私を見つめて、少し恐い表情で話す猛さん。
「郷田組って知っているか?」
『はい』
「俺はそこの組長だ」
猛さんの言葉にびっくりして、目を見開く。
龍二さんや運転手の人が組長って呼んでいたから、そういう人なのかなって思ってはいたけど……
郷田組は東日本最大の組で、ニュースなんかでもよく聞く組だ。
まさか猛さんが、そこの組長だなんて。
びっくりして固まる私に、哀しげな表情の猛さん。
「俺の事が怖いか?」
今までの猛さんとの事を、思い出してみる。
『いいえ』
男の人は怖いけど、猛さんの事は怖いとは思わない。
少し考えて答えると、眉を寄せて不安げな表情をした猛さんと目が合う。
『私の知っている猛さんは、いつも優しく笑いかけてくれます。
それから時々、大きな手で頭を撫でてくれる優しい人です。
だから、怖いなんて思いません。
ただ、そんな大きな組の組長さんだなんて知らなくて、びっくりしただけです』