◇白黒恋争物語◆~運命の翼~


「お医者さんも一生懸命力を尽くしてくれてね・・。でもばぁさんのガンの進行は止められず・・・まだこれからなのに・・・・ばぁさんは死んじまったんだ・・・。なんとも優しい顔をして眠っていったよ・・。苦しいのに、悔しいのい、ばぁさんは笑っててね・・・っ・・。おじぃちゃん・・・嘘ついちゃったんだよ・・。・・ずっと『大丈夫。大丈夫だよ』なんて言いながら・・・・結局ばぁさんを助けてやれなかった・・!そんな自分に嫌気がさしてね・・。それから何年かは普通の生活なんて送れなかった・・」








「おじぃちゃん・・・」



幼い私が眉をたらしささやく。





「・・・ばぁさんの大切にしていたお守りをずっと持ち歩いて、ばぁさんをもう手放さないように握り締めていた。・・・そのうちずっと持っていたせいか、お守りが段々切れてきて、中から小さい紙が見えてきたんだ。・・・そっと開けると、文が書いてあってね・・・・。ばぁさんの遺言だったんだ・・。それを見てね・・・・っ!涙が止まらなかったんだ・・・おじぃちゃん・・。そこには、ばぁさんの優しさと真実が書かれてたんだ・・。そこでやっとばぁさんとの出会いと別れの真実がわかったんだ・・・」






「し・・んじ・・つ・・?」






・・おじぃちゃんが涙を手でぬぐい、私に顔を近づける。





「・・棗ちゃん。・・・大切な人は絶対に手放しちゃいけないよ・・。たとえ何があってもね。・・・おじぃちゃんは棗ちゃんを最初に見たとき思ったんだ。・・・棗ちゃんは、ばぁさんの生まれ変わりじゃないか・・ってね」







私の頬を優しくなでる・・。








「この優しい目も・・・。この暖かな空気も・・・。その優しい心も・・・ばぁさんに・・・・そっくりなんだ・・・・」









・・おじぃちゃんの目に溜まっていた涙がとうとう流れていった・・。





「・・棗ちゃん。いいかい・・。・・・・おじぃちゃんがお空に行ったときは・・・そのばぁさんの遺言書を、おじぃちゃんの遺言でもあると思って読んで欲しいんだ・・・。棗ちゃんには受け止めきれないものがそこに書いてあるとしても・・・・。それを・・・信じて欲しい・・・。・・・・・きっと・・・・」













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