◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
ガラガラガラ..
「あ。おはよう棗!怜汰くん!」
「おはよう。有紀」
「おはよう」
声をかけてくれたのは坂下有紀(さかした ゆうき)。
中学からの友達。姉御肌で頼れる存在なの。
私はひとまず有紀の机にカバンを置き話し始める。
「おはよ~怜汰くん」
「おはよう」
「ねぇねぇ。宿題だった数学の問題でわからないトコがあるんだけどぉ、教えてくれるかなぁ?」
有紀の後ろの席は怜汰。
怜汰に媚びるのは城嶋文美(じょうしま あやみ)。
怜汰はカッコいいし頭もいいからファンがいるのはわかるんだけど、なんか見ててムカムカしてくる。
城嶋さんは美人で男子から超好かれてるけど、女子の評判は超悪い。
男癖が悪いとか、毎日彼氏が替わってるとか、そんな噂で城嶋さんに友達は少ない。
噂だから本当かどうかわからないけど、普段の行動を見る限り嘘だとは思えない。
私は無意識のうちに城嶋さんを睨んでいた。
「お~い。棗~。怖い顔してどうした?」
有紀が顔の前で手を振っている。
それにも気づかないまま私は城嶋さんをひたすら睨んでいた。
城嶋さんは私の視線に気づいたのか、ふとこっちを見る。
「うッ・・・」
城嶋さんの声が漏れた。
「どうしたの?城嶋さん。わからないトコどこ?」
「....あぁ。ごめ~ん。私やっぱり問題とけるわ。またわからないトコあったら聞きに来るから、今回はいいわ」
と言って慌てて自分の席に戻っていった。
「勝った」
「え?勝ったって、何か勝負してたの?」
「・・え!いやいやいやいや。なんでもない」
有紀は不思議そうに私を見つめていた。
「変なの」