記憶の桜 -花空残夢-
「もし、貴方がその身体で…、その魂で生まれて来なかったら、近藤さんにも土方さんにも、新選組にも会えなかったんですよ?」
今、此処にある彼の身体、魂だから、土方さん達にも会えた。
だから…。
「貴方がその身体で生まれて来たのには、ちゃんと意味があるんですよ」
すると、頭の上から嗚咽が聞こえて来た。
私は沖田さんの身体に手を回し、その背中を撫でる。
「生まれて来てくれてありがとうございます、沖田さん」
そう言うと、彼は今まで耐えていた苦しみを吐き出すかのように、泣き始めた。
私はただ彼の身体を抱き締めていた。