彼の瞳に捕まりました!
なのに―――
高瀬を最低だと思う一方で、今まで私に見せてくれた優しさを色々と思い出した。
俺様な発言は、自分の気持ちをハッキリ言わない私への優しさで――
そんな高瀬に甘えていたのは紛れもない事実―――
だけど、だけど今回ばかりはダメだった。
自分の中の何に引っ掛かっているのか定かでない物に素直に高瀬の言葉を受け入れられなくされている。
そんな気分だった。
モヤモヤとした気分を引きずったまま、社長に指定された場所に急いだ。
気持ちを伝える為に。
このままズルズルとしてしまうのは、お互いに良くないから。
指定してきたバーの入り口で社長の名を告げると、窓際の夜景が綺麗に見える席へと案内された。
電話で話していたように社長はそこにいて、私の姿を見てホッとしたような表情をみせた。
「ありがとう」
イスに座った私に、社長が言った。
「あ、あの……」
「菜穂は何を飲む?」
「ウーロン茶をお願いします」
案内をしてくれたウェイターにお願いして、社長を真っすぐに見つめた。
「すみません。まだ仕事がありますので」
私の言葉に社長は驚いた顔をしたかと思うと柔らかく微笑んだ。
「来てくれただけでいい。ありがとう」