彼の瞳に捕まりました!
エレベーターが指定したフロアに到着した音が響き、唇がゆっくり離れる。
「今日は戻すつもりはない」
先程までの柔らかな表情を一変させ、男の顔をした社長は、艶っぽい声を出した。
その声音に背筋が伸びて、冷たいものが走った。
纏めるあげられた両手を引っ張られ、部屋の中に入った。
普段ホテルを利用しない私でもわかる程、立派な部屋。
皮張りの座り心地の良さそうな3人掛けのソファー。
その奥には、キングサイズのベッドが置かれていた。
「菜穂」
耳元で甘く囁かれる名前に、身体が震える。
頬に彼の手がそっと触れ、そのまま後頭部へと移動した。
先程と同じように性急なキスをされ、ベッドに押し倒された。
激しいキスに息が上がる私に、社長はクスッと笑ったかと思うと、唇を耳元に寄せてゆっくりとなぶる。
そのまま舌先を尖らせて耳の中をまさぐるようにうごめいた。
普段感じる事のない感触に、思わず声がでる。
「あっんっ……」
「気持ちいい?」
唇を離す事なく告げる社長に、首を横に振った。
「もっと乱れる菜穂を見たい」
その言葉と共に、片手が胸に触れそっと揉んだ。
「やぁ――」
「気持ちいい。でしょ?」
意地悪な言葉に首を振る事しか出来ない。
そんな私に社長は、ふぅと息を吐いたかと思うと、
「素直じゃないね」
と冷たい声を出して、シフォンのブラウスのボタンを慣れた手つきで外すと、そのまま私の身体から剥がしていった。