彼の瞳に捕まりました!
「半年後に私は中東へ行きます」
突然の話に言葉が出てこない。
そんな私をよそに、大沢さんは話を続けた。
「多分これが最後だと思います。ですから、行成を一緒に連れて行こうと思っています」
高瀬と一緒に中東へ……?
「行成の弟は、無事に就職が決まり、あとは大学の卒業を待つばかりです。
高瀬さんも、下半身は不自由ながらも、自宅で小さな写真館を始めました。それぞれ前に進み始めました。
行成にも、もう一度夢を追いかけて欲しい。そう思ったんです」
「夢……?」
「行成もいつか世界中を写真に収めたい。そんな風に語っていました。きれいな場所も違うところも、嘘偽りない姿を」
まるで、その場所を切り取ったかのような写真を撮ることのできる高瀬。
きっと、その場所に行かなければ知り得る事の出来ない真実を撮しとる事ができるだろう。
だけど……
だけど……