彼の瞳に捕まりました!
暗室の二つの扉を抜けた途端、しゃがみ込んでしまった。
振り返らなかった高瀬の代わりに振り返ったサトコちゃん。
ニタリ。と笑った笑顔。
それから、
「行成さんは私の物」
耳元で囁かれた言葉。
もう、遅いの?
高瀬に気持ちを伝えることは出来ないままなの?
いい大人なのに、恋の一つも満足に出来ないなんて……
重い身体を引きずり上げるように立ち上がり、エレベーターホールへと向かった。
気持ち切り替えないと……
仕事、しなきゃ。
さっきの原稿。
訂正しなきゃ。
そう思って、手にしていた原稿を見ようとして固まった。
「……高瀬のと一緒に置いてきちゃった」