彼の瞳に捕まりました!
暗室を振り返り、ため息が漏れた。
逃げ出すように出てきた暗室に、すぐに戻るなんて……
でも、行かないと自分の仕事が出来ない。
もう一度、息を吐き出して暗室の方に歩き出した。
一つ目の扉をゆっくり開けて、オレンジ色の光を浴びる。
2つ目の扉の前の暗幕に手をかけると、微かに高瀬の声が聞こえた。
「……じゃないだろ?」
感情のない声。
「そんな事ないですよ?」
サトコちゃんの声も普段とは違う。
扉越しに感じる、妙な雰囲気に扉をノックするのをためらった。
「俺をイチイチ巻き込むなよ」
「だから、行成さんの事は好きですよ?」
好き。
サトコちゃんの口から簡単に吐き出された、たった二文字の言葉。
背中に冷たい汗が流れ落ちた。