彼の瞳に捕まりました!
「あの、高瀬?」
「その辺に麻生サンの事、捨ててきてもよかったんだけどね」
さっきまでと違う言葉使いに、背中に冷たい何かが伝う。
「あ、あの、ね」
「別に構わなかったんだよね。麻生サンと俺の関係なんて、ただの同僚だしね?
酔い潰れて眠った麻生サンをその辺に放置したとしても、俺には何の落ち度もないはずだしね」
「えっと、あの」
「わざわざ自宅に宿泊させて、ベッドまでかしてあげたのは、あのままに麻生サンをしておけなかった俺の優しさからきた行動なのに」
「ごめんね、あの……私、何も覚えてなくて」
「そんな俺を最低って呼ぶんだもんなぁ……麻生サンは……
そうかぁ―――」
高瀬はそう言うと悲しげに息を吐くと、ゆっくりとこちらに顔を巡らせた。
「だけど、」
「だけど…?」
尋ね返した私に、高瀬は魅惑的な笑顔を見せて、言葉を発した。
「菜穂が望むなら
最低で最悪な経験をさせてあげる」
笑顔なのに、感情のこもらない声。
その声音に、身体が震えた。
「高瀬?」
「菜穂が言ったんだよ?俺が最低だって」
ククッと笑い声をあげながら、高瀬は私の後頭部に手の平を置くと、顔を近づける。
唇が重なる間際に囁かれる言葉。
その言葉に、返事をさせてもらえないまま、唇が重なった――――