彼の瞳に捕まりました!


高瀬の意図する、

『最低で最悪』

が一体なんなのかわからないまま、3年が過ぎた。

あの日、高瀬の自宅でキスだけを繰り返しながら、彼は何度も私に同じ言葉を囁いた。

『拒否権はないよ』

『抱かれたくなったら、お願いしてね
俺からはキス以上の事はしないよ』

まるで子供を諭すかのような口調に、苛立ちを覚えるものの、高瀬のキスに何も考えられなくなっていく。

さっきだってそう。
サトコちゃんの言葉にいらつく私の話を、高瀬は呆れながらもきちんと聞いてくれた。
それでも膨れっ面の私に、トドメと言わんばかりにキスをした。

高瀬が何を考え、
そして、何を思って、こんな事をするのかわからない。

優しいのか意地悪なのかもわからない……

高瀬とは、なるべく関わらないようにしよう。

そう思いながら、職場でも適度に距離をとっていた私。
高瀬も必要以上に話し掛けてくる事もなくて、高瀬との事もなかった事にしよう。
そんな風に思っていた。
けれど、同じ雑誌の編集部。
一緒に仕事をしないなんて事はなくて……

私の書いた企画の取材を高瀬と一緒に行く事になってしまった。

1度だけ。
たった1度だけ見たことのある、高瀬のカメラマンとしての顔。
前と変わらぬその表情に、負けたくないという思いが強くなって……

結果、その企画は成功を収めた。

そして、
いつの間にか、高瀬と私がペアで行動する機会が増え、3年経った今では、

同期コンビ。

として、当たり前のようにペアを組むようになった。

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