彼の瞳に捕まりました!

地図を確認しながら、ビストロまでの道を急ぐ。
約束の時間までは、まだ余裕があったけれど、遅れる訳には行かないのが社会人というもので、常に10分前には到着するように心がけていた。

帰宅する人がまばらになりはじめた頃、目的地であるビストロらしき建物が見えてきて、歩みを進める足がゆっくりになった。

どこにでもありそうな、普通の一軒家の門扉
その先には柔らかく足元を照らす、ガーデンライト。
そこからの光にほんのりと浮かび上がる、色とりどりの花。
そして緑の葉が茂る、木々。

間にある通路を抜けると、目の前にまるで南仏を思わせるような白い壁に赤い屋根の家が現れてきた。

都内の住宅地にいるはずなのに、その事を忘れさせてしまう。
そんな感覚に陥った。


入口のドアの前で、ゆっくりと息を吐いて、
ぬくもりを感じさせるような、木製のドアを開けた。
中から柔らかな光が漏れて、なんだかほっとする。
そんな感情が湧いてきた。

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