彼の瞳に捕まりました!
後ろを振り返って、窓の向こう側を見つめた。
シックな色合いのテーブルセット。
テーブルの上には庭に咲いている色とりどりの花が小さな花瓶に活けられて、さりげなく置いてある。
ゆっくりとした時間が流れている。
そんな雰囲気の店内。
日々の喧騒とは掛け離れたその空間は、先日のあさかわの空間を思い出させた。
外観は全く違うのに、似ている。
その不思議な感覚に、少し息をついた。
そんな時だった。
店内の空気が少し揺れて、先程聞いた声が微かに響いた。
そして、少しずつ近づく足音。
テラスに抜けるドアがゆっくり開かれて、聞き覚えのある声が聞こえた。
「お待たせしてすみません」
その言葉に立ち上がると、声のする方を向き頭を下げた。
「お忙しいのにお時間頂きありがとうございます」
「こちらこそ、遅れてすみません」
この間と同じ様に、柔らかな笑みを浮かべた浅川社長。
けれど、服装は店内の奥のキッチンに立つシェフと同じ格好だった。
「あ、の?社長……」
私の問い掛けに、彼は頭を下げたかと思うと、
「お座り下さい」
と、少し固い声を出した。