ヴァンパイアヒューマン−桜−
宮殿内は静まり返り、誰ひとりとして人はいなかった。
『ジャック…みんなは無事なの?』
ミーナのその問いにジャックは黙り込んだ。
『…ジャック!?』
ミーナの前を歩くジャックは立ち止まり、ミーナの方を振り返った。
『わかりません…。突然、とち狂った目をギラつかせた集団が王国を攻め入り…私は父に言われグラバ様とミーナ様を守るためにここに来ました。だからみんなの様子は…正直わかりません』
ジャックは状況を重苦しく語った。
『さっきの奴は一体何者なの?盗賊?』
ミーナは不安そうに尋ねた。
『いえ…盗賊ではありません。むしろヒューマンではないと言った方が正しいかも知れないですね』
ジャックのその言葉にミーナは目を丸くして驚いた。