ヴァンパイアヒューマン−桜−
★悲しみの桜雪が降る頃に★
吹き抜ける風に、舞う桜の花びらが淡い命を散らして行く。
『もう、桜も終わりかな…』
サラはいつものように花畑にそびえる大きな桜の木の下で、散り行く桜を淋しそうに見つめていた。
『また来年まで、君には会えないのか…』
サラは大きな桜の木に、ひとり静かに話しかけていた。
『サラ、どうしたんだい?何だか凄く淋しそうな表情をしているけど…』
サラの元にやってきたウィルが、心配そうにサラに尋ねた。
『ウィル…』
サラはウィルの顔を見るなり、ウィルの胸に顔をうずめた。
『サ、サラ!?』
ウィルはサラの様子が変な事に気付いた。
『ねぇ、ウィル。あたしたち…あたしたちはやっぱり住む世界が違うわ』
サラは突然淋しげに告げた。