ヴァンパイアヒューマン−桜−
『ありがとう。あたしの名前はサラ。君は?』
少女・サラが小犬にそう話しかけると、小犬はあどけない表情で首を傾げた。
『名前…ないの?じゃあ…』
サラが小犬の名前を考えていると、ヒラリと桜の花びらが小犬の頭に落ちた。
『あっ…君の名前はサクラが良いな』
サラがそう言うと、小犬はシッポを振って喜んだ。
『気に入ってくれたんだ。ありがとう』
サラはシッポを振る小犬を抱きしめた。
『あのリリアさん。彼女は一体…』
ずっと状況を見ていたハートがリリアに尋ねた。
『彼女はサラ。今この世界に存在するたった一人のヴァンパイアです』
リリアは説明した。