ヴァンパイアヒューマン−桜−


『ありがとう。あたしの名前はサラ。君は?』


少女・サラが小犬にそう話しかけると、小犬はあどけない表情で首を傾げた。


『名前…ないの?じゃあ…』


サラが小犬の名前を考えていると、ヒラリと桜の花びらが小犬の頭に落ちた。


『あっ…君の名前はサクラが良いな』


サラがそう言うと、小犬はシッポを振って喜んだ。


『気に入ってくれたんだ。ありがとう』


サラはシッポを振る小犬を抱きしめた。


『あのリリアさん。彼女は一体…』


ずっと状況を見ていたハートがリリアに尋ねた。


『彼女はサラ。今この世界に存在するたった一人のヴァンパイアです』


リリアは説明した。



< 202 / 574 >

この作品をシェア

pagetop