ヴァンパイアヒューマン−桜−


黒ずくめの男はお腹に突き刺さった小刀を、何もなかったかのように抜き地面に投げ捨てた。


そして小刀の刺さっていた傷口が、みるみる内に治って行った。


『…なっ!!?』


それを見たジャックは驚きを隠せなかった。


『こんなもので私を殺れる訳ないでしょう、ハッハハハ』


黒ずくめの男は高笑いをした。


『私の名はヴァンパイアの王ヴィルグロース。私の愛した…サラを殺したお前たちヒューマンに復讐してやる』


ヴィルグロースは鬼のような形相をし、おぞましい声で怒鳴った。


『サラ…って…』


ミーナは夢の中で聞いたサラという名前を思い出した。


『ジャック…ミーナ様をつれて逃げろ』


バロンは剣を力強く握りしめた。



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