ヴァンパイアヒューマン−桜−


『ジャックとバロンさんって…本当の親子じゃなかったのか…』


ラッセルはジャックの過去を初めて知って驚いた。


『ジャックも最初はイタズラや悪いことばかりやってたわ。でもそれは、ただ自分の寂しさを紛らわすためだけだった…だからきっと、さっきのあの少年も寂しいんだと思う』


ミーナは少年が去っていた方向を見つめた。


『目を見ただけで、そこまでわかるなんて凄いですね…ミーナ様』


ハートは感心した。


『あ、おい!!これって…もしかしてさっきの少年の?』


ラッセルは道端に落ちていた古びたお守りを拾いあげた。


『ジンタ…か。アイツ、ジンタって言うのか…』


ラッセルは、お守りに糸で書かれている名前を読み上げた。


『さあ、もう少しで朝だし…それまでもう少し寝ましょう』


ミーナがそう言うと、ラッセルとハートは頷いた。


ラッセルはジンタのお守りをポケットにしまい込み、また眠るミーナとハートを横目にウツラウツラと見張りを続けた。



< 67 / 574 >

この作品をシェア

pagetop