魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスはティアラの答えに全く納得がいってなかった。
同じ王女として生まれ、ティアラは己を犠牲にして好きな男への恋を諦めた。
かたや自分は…いずれ不死になり、皆を看取り、ずっとずっと生きてゆくのだ。
…愛しい男と共に。
「…ティアラっ、リロイのとこに行こ。これあったかいうちに食べてもらお」
「え、でも今ローズマリーと一緒に居て…」
「関係ないよ、一緒行こ!」
いつもはぽやんとしているくせに、コハクの膝から降りると強引に腕を取って立たせると、お皿からひとつクッキーを取ってぱくっと食べた。
「ん、美味しい!絶対喜んでくれるよ」
「チビ、俺のことはー?」
「すぐ戻って来るから待っててっ。はいこれ」
食べかけの欠けたクッキーを口移しすると、もごもごと食べて鼻の下を伸ばしまくり。
「美味い!美味いぜチビ!」
「でしょ?あのね、蜂蜜を入れたの。じゃあ行って来るねっ」
戸惑うティアラの背中を押してキッチンから出て行くと、恐る恐る魔物たちが揉み手をしながら近付いてきた。
「あ、あの…魔王様…私たちにもクッキーを…」
「ちっ、仕方ねえな…ちゃんと味わって食えよ!」
「ありがとうございます!」
だが魔王の心の狭さが露呈し、彼らの手に乗っけたのは…たった1枚ずつ。
それでも心の綺麗な魔物たちは喜び、さくさくのチョコチップクッキーを食べるとはたから見ると怖いのだが、嬉しそうに笑った。
「ま、あいつらがくっついてガキでもできりゃ、俺とチビのガキのいい遊び相手になるだろうな」
ラスが必死になって2人の仲を取り持とうとしているのが可愛らしく、いじらしい。
「じゃー俺はちょっと仮眠でもすっか。夜に備えて。ふふふふ」
――色ぼけ魔王が含み笑いをしていた頃、クッキーの乗ったお皿を手にラスがノックもなしにリロイの部屋へと突入した。
「え、ら、ラス?」
「クッキー作ったの!…ティアラが!」
「ちょ、ラス!?」
一緒に作ったのに優しい嘘をついてくれたラスがにこっと笑った。
「ね、食べて!」
恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
同じ王女として生まれ、ティアラは己を犠牲にして好きな男への恋を諦めた。
かたや自分は…いずれ不死になり、皆を看取り、ずっとずっと生きてゆくのだ。
…愛しい男と共に。
「…ティアラっ、リロイのとこに行こ。これあったかいうちに食べてもらお」
「え、でも今ローズマリーと一緒に居て…」
「関係ないよ、一緒行こ!」
いつもはぽやんとしているくせに、コハクの膝から降りると強引に腕を取って立たせると、お皿からひとつクッキーを取ってぱくっと食べた。
「ん、美味しい!絶対喜んでくれるよ」
「チビ、俺のことはー?」
「すぐ戻って来るから待っててっ。はいこれ」
食べかけの欠けたクッキーを口移しすると、もごもごと食べて鼻の下を伸ばしまくり。
「美味い!美味いぜチビ!」
「でしょ?あのね、蜂蜜を入れたの。じゃあ行って来るねっ」
戸惑うティアラの背中を押してキッチンから出て行くと、恐る恐る魔物たちが揉み手をしながら近付いてきた。
「あ、あの…魔王様…私たちにもクッキーを…」
「ちっ、仕方ねえな…ちゃんと味わって食えよ!」
「ありがとうございます!」
だが魔王の心の狭さが露呈し、彼らの手に乗っけたのは…たった1枚ずつ。
それでも心の綺麗な魔物たちは喜び、さくさくのチョコチップクッキーを食べるとはたから見ると怖いのだが、嬉しそうに笑った。
「ま、あいつらがくっついてガキでもできりゃ、俺とチビのガキのいい遊び相手になるだろうな」
ラスが必死になって2人の仲を取り持とうとしているのが可愛らしく、いじらしい。
「じゃー俺はちょっと仮眠でもすっか。夜に備えて。ふふふふ」
――色ぼけ魔王が含み笑いをしていた頃、クッキーの乗ったお皿を手にラスがノックもなしにリロイの部屋へと突入した。
「え、ら、ラス?」
「クッキー作ったの!…ティアラが!」
「ちょ、ラス!?」
一緒に作ったのに優しい嘘をついてくれたラスがにこっと笑った。
「ね、食べて!」
恥ずかしくて顔から火が出そうだった。