魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「ベッドが大きくてよかった!」


ティアラも風呂に入り、少々胸はきついが我慢してもらってゆったりめのピンクのネグリジェをティアラに貸すと、3人でベッドにダイブした。


「あのね、私…ベルルがここに来てくれるまで死んでたの」


「…ええ、仕方ないわ。私だって魔王城からここに来るまでの間あなたを魔法で眠らせてしまってごめんなさい」


「ううん、そうしてくれなかったら私…多分壊れてたから。ティアラ…ごめんね。いっぱい迷惑かけちゃったよね」


手を握り合い、向き合いながら謝り合うとベルルが笑った。


「こんな光景コハク様が見たらすっごく怒るんだろうなー。お会いできたら全部喋っちゃおうっと」


「駄目だよコーは怒るとすっごく怖いんだから。絶対言っちゃ駄目だからね!」


慌てたラスが蒲団の中でベルルの脇をくすぐり、そんなラスのわき腹をティアラがくすぐって布団の中は笑い声に溢れて大変なことになっていた。


「きゃー、くすぐったい!」


「ラス…しばらく滞在させてもらうわ。ここに王国随一の書庫があるでしょ?そこで色々手がかりを探しましょう」


「うん!なんか楽しいね、旅をしてた時みたい」


「あの時は魔王があなたにべったりだったからこうして寝たりすることはなかったでしょ?ラス…元気になって本当によかったわ」


半狂乱になって叫ぶことしかできなかったあの時のラス――


その時に比べれば見違えるほど元気になった。


「明日沢山本を読まなきゃいけないからもう寝ましょう」


「うん、わかった。ティアラ…おやすみなさい」


瞳を閉じる前に、またラスが祈る。


「神様…神様…コーを見守っていて下さい。コーが我が儘言って暴れたりしないように見守っていて下さい」


「ふふ、それを言うならラスの方でしょ?」


「ひどい!我が儘は言うけど私は暴れたりしないもん。コーは乱暴者だから…心配だな…」


――ラスがそう心配していたその頃、どこかで目覚めた男は…



「ふざけんなチビに会わせろ!つか俺に触るんじゃねえ!てめえ殺されてえのか!」



…暴れていた。
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