魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
翌朝早朝から夜になるまで、ラスとティアラとベルルは書庫に籠もり続けた。
書庫はとても冷えるので、心配したカイが暖炉に火を入れ、ありったけの毛布やコートなどを運び入れてくれた。
だが数日経っても手掛かりひとつない。
オーディンのことが書かれてある書物は何冊か見つかったが、書かれてあることは曖昧で抽象的で、糸口すら見つけることができないでいた。
「はあ…見つからないね。グリーンリバーに居た時もっとオーディンさんと話してればよかったな」
「あなたがそう思っていても魔王が嫉妬して許さなかったと思うけど」
3人で温かいスープを飲んでかじかんだ手を暖炉に向けてあたためていた時――
「どなたかお捜しですか?」
「え……、え?オーディンさん!?」
――大理石の床にこつん、と響いた杖の音。
振り向くと書庫の入り口には左目に眼帯をし、肩半ばまである長い銀の髪を垂らし、黒いローブを着た男…オーディンが立っていた。
そしてさらに…
「王国の外で出会ったんだ」
「グラースと…お師匠さん!?」
開いた扉をコンコンとノックして姿を見せたのはグラースと、そしてコハクの師匠のローズマリーだった。
興奮したラスがオーディンに飛び付いて抱き着くと少し慌てた声で肩を押してやんわりを引き剥がされた。
「コハク様に叱られてしまいますのでおやめください」
「コーは生きてるの?!ねえオーディンさん、ずっと捜してたの!コーは生きてるよね!?」
「ええもちろんですよ」
――求めていた答えが返ってきた。
コハクのことを諦めなかったこと…
ずっとそれを信じて2年間命を捨てずに生きてきたことが無駄ではなかったこと…
膝から崩れ落ちたラスは胸に両手をあて、神に感謝をした。
「神様ありがとうございます!コーを生かしてくださってありがとう!」
「あなたのその願いが、神に届いたんですよ」
「え?」
「ラス王女、お久しぶりね。また綺麗になったけれどやせ過ぎだわ。コハクに怒られるわよ」
ローズマリーの優しい声――
ラスは感極まり、嗚咽を漏らした。
書庫はとても冷えるので、心配したカイが暖炉に火を入れ、ありったけの毛布やコートなどを運び入れてくれた。
だが数日経っても手掛かりひとつない。
オーディンのことが書かれてある書物は何冊か見つかったが、書かれてあることは曖昧で抽象的で、糸口すら見つけることができないでいた。
「はあ…見つからないね。グリーンリバーに居た時もっとオーディンさんと話してればよかったな」
「あなたがそう思っていても魔王が嫉妬して許さなかったと思うけど」
3人で温かいスープを飲んでかじかんだ手を暖炉に向けてあたためていた時――
「どなたかお捜しですか?」
「え……、え?オーディンさん!?」
――大理石の床にこつん、と響いた杖の音。
振り向くと書庫の入り口には左目に眼帯をし、肩半ばまである長い銀の髪を垂らし、黒いローブを着た男…オーディンが立っていた。
そしてさらに…
「王国の外で出会ったんだ」
「グラースと…お師匠さん!?」
開いた扉をコンコンとノックして姿を見せたのはグラースと、そしてコハクの師匠のローズマリーだった。
興奮したラスがオーディンに飛び付いて抱き着くと少し慌てた声で肩を押してやんわりを引き剥がされた。
「コハク様に叱られてしまいますのでおやめください」
「コーは生きてるの?!ねえオーディンさん、ずっと捜してたの!コーは生きてるよね!?」
「ええもちろんですよ」
――求めていた答えが返ってきた。
コハクのことを諦めなかったこと…
ずっとそれを信じて2年間命を捨てずに生きてきたことが無駄ではなかったこと…
膝から崩れ落ちたラスは胸に両手をあて、神に感謝をした。
「神様ありがとうございます!コーを生かしてくださってありがとう!」
「あなたのその願いが、神に届いたんですよ」
「え?」
「ラス王女、お久しぶりね。また綺麗になったけれどやせ過ぎだわ。コハクに怒られるわよ」
ローズマリーの優しい声――
ラスは感極まり、嗚咽を漏らした。