魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
クリスタルパレスの上空に着くと、あちこちで盛大なたき火が燃やされており、輪になった人々が酒を手に踊っているのが見えた。
この街に住みたいと願い出て来る者は後を絶たず、名簿リストは厚くなってゆく一方だ。
そろそろキャパを越えそうになっていたので、この光景を眺めていたコハクは明日で募集を打ち切ることを決めてケルベロスを降下させた。
「あそこに居た。正面に降りろ」
『はい魔王様ー』
下降しつつケルベロスが“ワンワン”と犬っぽく吠えると、ドラちゃんと共にすでにコロニーの名物と化していた魔犬の登場に人々は空を見上げ、砂塵が目に入らないように手で庇いながら空から降りてきた“有名人”を迎えた。
「影…」
「迎えに来たぜ。ボインが心配してるぞ」
輪の中心に居たのはリロイで、闇夜に溶け込んでいた男2人が伏せをしたケルベロスから降りて来ると、それまで騒いでいた一同はしんと静まり返った。
すでにもっぱらの噂になっていたからだ。
“この国の主は赤い瞳をした真っ黒な男だ”と。
「皆さんの話を聴きたいから僕はまだ帰らない。ティアラには“心配しないで下さい”と伝えておいてくれ」
「チビも心配すると思うんだけどなー。俺はそれがいやだなー。チビが心配していいのは俺だけでいいんだけど」
自警団を含め、恐らくこの街の中心人物となるであろうそれぞれの分野のスペシャリストが集い、明らかに異彩な空気を纏っているコハクとデスを不審の瞳で見ていたので、リロイは彼らに座るようにお願いすると、2人を紹介した。
「どうせわかることですから先に紹介しておきます。影…じゃなくて、そちらの赤い瞳の男性はこの旧王国の復興計画を練り、さらにここまで復活させたグリーンリバーの領主です」
「おお…あのグリーンリバーの…!?」
「…そして、ゴールドストーン王国のラス王女のフィアンセでもあります」
リロイを中心にざわめきがさざ波のように広がった。
どうやらリロイがラスのフィアンセでないことはすでに噂の的にはなっていたが、まさかこの…真っ黒な男だとは、という心の声がコハクにも聴こえていた。
「…ま、今夜は付き合ってやるよ。デス、お前も座れ」
「……うん」
人々の声に、耳を傾ける。
この街に住みたいと願い出て来る者は後を絶たず、名簿リストは厚くなってゆく一方だ。
そろそろキャパを越えそうになっていたので、この光景を眺めていたコハクは明日で募集を打ち切ることを決めてケルベロスを降下させた。
「あそこに居た。正面に降りろ」
『はい魔王様ー』
下降しつつケルベロスが“ワンワン”と犬っぽく吠えると、ドラちゃんと共にすでにコロニーの名物と化していた魔犬の登場に人々は空を見上げ、砂塵が目に入らないように手で庇いながら空から降りてきた“有名人”を迎えた。
「影…」
「迎えに来たぜ。ボインが心配してるぞ」
輪の中心に居たのはリロイで、闇夜に溶け込んでいた男2人が伏せをしたケルベロスから降りて来ると、それまで騒いでいた一同はしんと静まり返った。
すでにもっぱらの噂になっていたからだ。
“この国の主は赤い瞳をした真っ黒な男だ”と。
「皆さんの話を聴きたいから僕はまだ帰らない。ティアラには“心配しないで下さい”と伝えておいてくれ」
「チビも心配すると思うんだけどなー。俺はそれがいやだなー。チビが心配していいのは俺だけでいいんだけど」
自警団を含め、恐らくこの街の中心人物となるであろうそれぞれの分野のスペシャリストが集い、明らかに異彩な空気を纏っているコハクとデスを不審の瞳で見ていたので、リロイは彼らに座るようにお願いすると、2人を紹介した。
「どうせわかることですから先に紹介しておきます。影…じゃなくて、そちらの赤い瞳の男性はこの旧王国の復興計画を練り、さらにここまで復活させたグリーンリバーの領主です」
「おお…あのグリーンリバーの…!?」
「…そして、ゴールドストーン王国のラス王女のフィアンセでもあります」
リロイを中心にざわめきがさざ波のように広がった。
どうやらリロイがラスのフィアンセでないことはすでに噂の的にはなっていたが、まさかこの…真っ黒な男だとは、という心の声がコハクにも聴こえていた。
「…ま、今夜は付き合ってやるよ。デス、お前も座れ」
「……うん」
人々の声に、耳を傾ける。