魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
“チビの居ない世界なんて無くなればいい。

…そして、俺も無くなればいい”


自分が刹那的な性格であることを重々よく知っているコハクは、不死の魔法をラスに早くかけろとせがむデスの隣に移動して髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。

デスはそれを嫌がらず、むしろ身体のどこかに触ってもらえることが好きらしく、そういう時は少しだけ表情が和らぐ。

ラスと居る時が1番顕著だが…デスに限ってラスに“女”の部分を求めているわけではないだろう。


「チビは結婚式の後がいいって言ってるんだ。俺も実際不死の魔法を行使するのははじめてだし、お師匠からかけてもらった時漠然としかその方法がわかってねえ。万全にするために時間が必要だ」


「………ふうん……わかった…」


「これでお前も未来永劫ずっとチビと会えることができるぜ。俺の嫁になるんだ。あの小さかったチビが…」


またはにかんだように見えたデスの横顔を見ていたコハクは、釘をさすためにデスの頬をつまんでむにっと引っ張ると顔をこちらに向けさせてひと睨み。


「チビとしていいのは手を繋ぐこと、頭を撫でること、そして最大の譲歩はハグ。これ以上は絶対なんもするな。いいな?」


「…………キスは…?」


「ほっぺはぎりぎりOK!口は駄目!あと首から下も駄目!」


制限がかかりまくりだが、デスはこくんと頷いて首を伸ばすと唇を半開きにして爆睡しているラスの寝顔を見ながらワインをラッパ飲みした。

酒には滅法強いが、一切の食事を摂らない死神。

ラスが心配するのも納得できるし、デスにあれこれ構って世話を焼くラスの姿は時々きりきりさせるが、嫌いではない。


「あ、あのさあ、ちなみにベビーは男なのか?女なのか?」


「…………聴きたい?」


“秘密”と返ってくるかと思いきや、からかい気味に背もたれに身体を預けながらにやりと笑ったデスの表情が豊かなものに変わりつつあることを喜んだコハクは、両手で耳を塞いでぶんぶん首を振った。


「やっぱいい!生まれてくるまで楽しみにすっから!あーどうしよう!チビ似だったらマジ嬉しいんだけど!」


「………ふふ」


「あ、なんだそのヤな笑い方!お前なんかこうだ!こうしてやる!」


頭のてっぺんを拳でぐりぐりしながらデスとじゃれ合った。

ラスがデスを変えたのだろう。

自分の時と同じように――
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