魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクが傍に居ることで安心しきってすやすやと眠ったラスの寝顔鑑賞会をしつつ、いつもと少し様子の違うデスをソファに座らせるとワインボトルを投げ、ローブからにゅっと出たデスの手がそれを受け止めた。
「どうした?仕事がいやになったか?」
「……わからない。俺……何か変わった」
「ああ、なんか変わったよな。鎌が手に馴染まなくなったか?怯える顔を見たくなくなったか?」
膝を抱えたデスはそれまでいつものようにぴくりとも表情を動かさなかったが、コハクがワインボトルをラッパ飲みすると、それに倣って同じようにラッパ飲みした後、綺麗な唇を歪ませた。
「………俺……怖い…?」
「お前が怖いんじゃねえよ、“死神”が怖いんだ。デス、よく聴け」
コハクがテーブルにワインボトルを置いて身を乗り出したので、真剣な話なのだと悟ったデスは脚を下ろして同じように身を乗り出した。
…本当に弟のようにデスを可愛がっているコハクは、不安そうな光が瞬いているデスの瞳を覗き込むと、安心させるように笑いかけた。
「お前はベビーとチビの命を助けてくれた。命を刈るだけの手じゃねえんだ。それは俺とチビがよくわかってるから」
「………うん。…俺…魔王の命も…救ったかも」
「はん?言うじゃねえか、俺が死にそうになったとでも………ああ…そっか…チビが死んでたら…死ぬために必死になってたかもな」
「……酷かった。……俺とオーディン……ぼろぼろになっても…勝てなくて…止められなかった…」
――デスは、本来は語ってはならないことを語った。
もう未来は変わっていたとしても、デスは当人に未来の出来事を語ってはならないのだ。
だが、神は自分を見てくれている。
間違ったことをすれば必ず罰を受ける。
何も起きないのだから、このことを語ったのは…間違いではないのだろう。
「まあ俺は強ぇからな。…そんなに酷かったのか?」
美しい自然を好み、誰もが安らげる世界を求めるラスのために一切の破壊行動をしないと誓ったはずなのに、自らその世界を壊そうとしたことをデスが無言で肯定し、それでもコハクは自身の行為を納得していた。
「チビが居なかったらそうなる。必ず」
「……早く不死の魔法をかけて」
そうすれば、この不安もなくなる。
「どうした?仕事がいやになったか?」
「……わからない。俺……何か変わった」
「ああ、なんか変わったよな。鎌が手に馴染まなくなったか?怯える顔を見たくなくなったか?」
膝を抱えたデスはそれまでいつものようにぴくりとも表情を動かさなかったが、コハクがワインボトルをラッパ飲みすると、それに倣って同じようにラッパ飲みした後、綺麗な唇を歪ませた。
「………俺……怖い…?」
「お前が怖いんじゃねえよ、“死神”が怖いんだ。デス、よく聴け」
コハクがテーブルにワインボトルを置いて身を乗り出したので、真剣な話なのだと悟ったデスは脚を下ろして同じように身を乗り出した。
…本当に弟のようにデスを可愛がっているコハクは、不安そうな光が瞬いているデスの瞳を覗き込むと、安心させるように笑いかけた。
「お前はベビーとチビの命を助けてくれた。命を刈るだけの手じゃねえんだ。それは俺とチビがよくわかってるから」
「………うん。…俺…魔王の命も…救ったかも」
「はん?言うじゃねえか、俺が死にそうになったとでも………ああ…そっか…チビが死んでたら…死ぬために必死になってたかもな」
「……酷かった。……俺とオーディン……ぼろぼろになっても…勝てなくて…止められなかった…」
――デスは、本来は語ってはならないことを語った。
もう未来は変わっていたとしても、デスは当人に未来の出来事を語ってはならないのだ。
だが、神は自分を見てくれている。
間違ったことをすれば必ず罰を受ける。
何も起きないのだから、このことを語ったのは…間違いではないのだろう。
「まあ俺は強ぇからな。…そんなに酷かったのか?」
美しい自然を好み、誰もが安らげる世界を求めるラスのために一切の破壊行動をしないと誓ったはずなのに、自らその世界を壊そうとしたことをデスが無言で肯定し、それでもコハクは自身の行為を納得していた。
「チビが居なかったらそうなる。必ず」
「……早く不死の魔法をかけて」
そうすれば、この不安もなくなる。