ボクは桜、キミは唄う
何で?

何で別れたのか尋ねられてハッとした。

脩君の顔を見て、どこかで脩君のせいにしてる自分がいたけど。

でも、誰のせいでもないんだ。

私が柚木君を信じきれず、傷つけて、心配ばかりかけて、そして、『もう、やだ』弱音を吐いて、逃げようとしたんだ。

それなのに、脩君に八つ当たりなんて。

「楓ちゃん、俺……卑怯な事した。どうしても楓ちゃんを彼氏から取り戻したくて、手段選ぶ余裕もなかったんだ。けど、何かこれはちょっと後味悪いって言うか。あ、言ってる事ハチャメチャなんだけどさ。できればこれからは俺と柚木で正々堂々と戦えたらと……」

「脩君、ひとつだけお願いがあるの」

「ん?何?何でも言って?」

私は、脩君の手を振りほどくと、

「もう私にかまわないで」

脩君を真っ直ぐ見つめて言った。

脩君の顔から力が抜けていくのがわかった。

でも、中途半端な私の態度も良くなかったんだと思うから。

「ばいばい」

視線を背中に強く感じたけど、振り向かずに校門を出た。


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