海上船内物語










□ □ □



「本当に、良かったの?」

「何がだ」


椅子に座っているアランは、長い足を組む。
正面に座っているアルは、ただ妖しく笑うだけ。




「死神船にあーんな事書いちゃってさぁ」

「ああ、あの血痕の事を言ってるのか」

「他に何があるんだよ」


アランは、口元を妖しく浮かべた。



「なに、カイルはわしの一人娘だからなぁ。娘思いなんだよ、わしは。ガッハッハ」

「・・・本当、そっちの方がカイルを傷つけることになると思うけど」


アルの指摘に、アランは顔を顰めた。



「固い事を言うな、アル。時には、つかなければいけない嘘と言うものもあるだろ」

「その嘘がばれたらどうすんの?」


アルは真面目な表情になり、アランを責めるかのように聞いた。



「・・・・・・死ぬまで守ってやりたい嘘だからなぁ。嘘は突き通さないと、あとで虚しくなるものだ」

「初めから、そんな嘘つかなければ良かったのに」

「馬鹿言え。・・・やっぱり、カイルを死神船に叩き込んだのが、襤褸を出したか」



アランは大きな溜め息を溢し、瞼を閉じた。



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