海上船内物語


(親父のとこに連れてかれたら、アキに殺される・・・・!!)


だん、と右足で甲板を蹴り上げた。

びくりと二人の海賊が身体を強張らせる。


両手で何とか握れたサーベルを、当てずっぽうに振り回す。


「うわっ、こいつ剣持ってたか!」

「くそ、押さえろ!」


慌てた様子の二人が、カイルの首根っこを掴む。


カイルは右腕にサーベルを持ち、口を押さえている男の腕に突き刺した。


「っうわあああ!!こいつ!」


拘束から解放され、カイルは立ち上がった。

刺された男もカイルに襲い掛かる。


「女だからって、なめるなよ!!」


カイルは両手で握ったサーベルで、男の剣を振り払う。


一瞬をついて、男の脇腹を斬りつける。


赤が、吹き出るように散る。

男はうずくまった。


カイルはそのまま体勢を変え、後ろで構えていた男の足元にかがみ込み、手の平を斬り付ける。

落ちた男の剣を拾い上げ、そのまま後ろに回って背中に二本、突き刺した。



二人の男は、甲板に寝そべったまま、動かなくなる。



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