海上船内物語
荒い息を吐き出す。
剣を二本握っていた手の平は、血で真っ赤に濡れていた。
「・・・・・・・・は、・・・・・・」
倒れた男達を見下ろす、カイル。
カイルの口元に、笑みが浮かんだ。
足元からは、男達の生暖かい血が流れ出す。
裸足のカイルはそれを踏みつけて、跳ね血を飛ばした。
バリバリバリ、と空が響いた。
カイルは二本の剣を、男の背中から引き抜く。
ずるりといやな音を立てて、剣はカイルの手元に戻った。
雨に濡れた金髪から、水が滴る。
カイルは甲板に立ち、そのまま海賊と死神船団がごった返す船に飛び込んだ。
すぐに気が狂っている海賊の一人が襲い掛かる。
カイルはそいつに飛び込むように、両手で剣を構え、男の空いている腹に剣を突き刺した。
倒れる男の横をすり抜け、カイルは死神船員と手合いをしていた、海賊二人の背中をまた深く突き刺した。
ゆっくりと、海賊二人が倒れる。
今さっきまでその二人と闘っていた死神船員が、カイルを見た。
「・・・カイル・・・・・?」
返り血で濡れたカイルを見ると、船員は息を呑んだ。
カイルはにっこりと笑う。