海上船内物語
「・・・勘違いするな、お前がガルフを殺したという事を、許したわけではない」
カイルの首を、指が締め付ける。
カイルは顔をしかめ、アキを見上げた。
「・・・・・・お前を死神船に入れたことは、後悔していない。
お前は誰よりも戦力に優れているし、集中力にも長けている。この前の大海賊連盟との乱闘だって、お前の力が無ければ負けていたかもしれない。・・・・だがな」
「っ、」
アキの指が更に強く絞まる。
カイルは眉を寄せ、アキを強く睨みあげる。
「・・・・・・お前は、“掟”を破りすぎている存在だ。何もしない、では許されないだろう」
「じゃあ、・・・・・どう、するの・・・・?」
アキはカイルを包んでいたシーツを剥がす。
「少々痛い、“罰”を与えようか」
ゆらゆら。
蝋燭が消える。
一瞬で真っ暗になった部屋に、くぐもった声が響く。
外は穏やかな天候だった。
海は静かに波立ち、空は雲が少し出ているだけ。
「うわあああああ?!何するんだ!!」
「うるさい、夜中だぞ」
「正気?!やめ、やめろって!!」
暗い部屋に、ごとりと物音がする。
「・・・・夜は長い」
鼻で笑う声がして、蝋燭の煙は消えた。