海上船内物語
「はっ?!じゃあ何か、アレか?!ここの土地は全部政府の私有物なのか?!」
「そうだ。だから何をするにもあいつの許可が要る。本当面倒臭ぇよな」
(どんだけ“リゲ”って奴は凄ぇ奴なんだ!!まさか俺今とんでもない場面に立ってるんじゃ・・・)
「着いたぞ」
「ぶっ!!」
再び、急に止まったアキの背中に直撃するカイル。
それを迷惑そうに見下ろすアキ。
「前を見て歩かないか」
「だってよぉ、」
顔を上げたカイルは息を呑んだ。
見渡す限りに、壮大な建物が立っていた。
カイルが百人並んでも届きそうに無い横幅と、何メートルと言う単位では表せないほどの高い背。
豪邸、だった。
その豪邸にアキと船員達はずかずかと入っていく。
カイルが慌てふためいていると、ウルが笑って手招きした。
「リゲ!“死神船”の船員を引き連れてきてやったぞ」
莫大の大きさの玄関に向かってアキが叫ぶ。
上から目線?!と驚愕しているカイルを押しのけ、アキは左腰から長剣を引き抜いた。
「早く開けろ!この立派な門を破壊してやるぞ!」
そう言うと同時に、玄関の門は数人の使用人の手によって押し開けられた。
(豪、邸・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!)
玄関の奥も、それは凄いものだった。
見渡す限りの美しい刺繍絨毯が引かれ、奥に奥にと部屋は繋がっていた。