ラブハンター☆
「うっ……」
「ったく。何時だと思ってんだ。ガキがうろつく時間じゃないだろ!」
「あ~毬谷くん。ちょっと……」


扉が開いて偉そうな年配の男の人が顔を出す。
「ちょっと待ってろ!」

元気が部屋を出て行くと、入れ違いに今度はさっきの女の人が入って来る。桜の目の前でタバコに火をつける。

「ちょっとあなたね~。お子ちゃまのくせにこんなとこに来るから元気、あっちでマネージャーに叱られてるわよ。ここはお酒を出すとこなの。中学生が来ていい場所じゃないのよ?」


フーッと煙を桜に吹き掛ける。

-こっのおばはん!何なのいったい…-


「私高校行ってるんだけど」
「えっ、あっはっは…どう見たって中坊じゃん。育ってないしぃ♪」

チラッと桜の胸を見て笑う。はち切れんばかりの自分の胸を強調して…多分Hカップはあるだろう。でも桜も小柄な割にはCはある。
-ガチャッ-

「おい安西~。あんまいじめないでくれる?」

頭をかきながら元気が入って来る。サラサラの黒髪、整った優しげな顔、180cmの長身。太陽とよく似てるけど桜的には全っ然違う。絶対元気のがカッコいい。容姿も性格も!そして桜は知っている。元気が頭をかくのは困った時のくせ。きっとしこたま叱られたんだろう。

「あ~ん元気ィ。私お守してただけよぉ♪お子ちゃまは早くお家に帰ってママとネンネなちゃい♪」


-こいつ……元兄ィを狙ってる!しな作って元兄ィ誘ってるつもり!?-


桜は直感で分かった。つまり恋敵。今まで『妹』ポジションをキープして来たけど、うかうかしてたらかっさらわれる。一瞬危機感を覚えた。

-こんなおばはんに元気兄ィ取られてたまるか!-

「元兄ィ~……あのね」

桜は目に涙を溜めて元気を見つめる。桜の涙を見ると必ず元気はある行動に出るのを知ってる…

「桜だって来たくなかったもん。でも太陽に無理やりこれ頼まれて……なかったら元兄ィ困るから」

預かったキーの束を差し出し、ここでポロッと。ぎょっとた元気は慌てて桜を自分の胸に抱く。

-ほらね♪-

「ごめん!ごめんな桜。届けに来てくれたの知らなかった」
「うっうっ……」
「ごめんな~」
「元兄ィ…お願い一個聞いて」
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