まーるいサッチ





田舎特有の田んぼ道のど真ん中で見つけた人



「あ、潤ちゃん。」



ぽつり、と呟いた声が本人に届くほどのものではなかったのは明らかだけど、



その存在気付いたのは、あたしだけじゃなかったっぽい。



互いの目が合わさった瞬間、相手はかなり引きつった苦笑いを浮かべた。



どーやら、タイミングが悪かったらしい。



なんとなく雰囲気で分かったから、そのまま何事もなかったかのように立ち去ろうとすると...



「ちょっ待て!!」



そんな焦った声がして、後ろを振り返ると



さっきまで離れていた距離が一気に縮まっていた。



んーっと



「...え、お邪魔だったんじゃないの?」



目の前の人物はとにかく目を白黒させている。



「はっ!?何が?」



間髪入れずに返答してくるのもすごい勢いだ。



「や、だって明らかにマズイって顔してたから。」



というと、さらに引きつり顔が二割増しになった。



「んなことねーし!!!!ないないっ!!」



今度は必死に無実を証明している人の顔つきに変わった。



やつがさっきまでいた位置には、一人の女の子が佇んでいる。



この辺りでは一番かわいいと評判のブレザーを身に纏って



しかも制服に全く劣ってない容姿とみた。



「そう?てか、あの女の子、同じ高校の子?」



問いかけると、無言で頷く。



というか、キミは冷や汗っていうか尋常じゃないくらい汗出てるけど、大丈夫か?もはや脂汗の域に達してるし。



「大丈夫?なんかしたの?」



してないしてないっ!とまた必死になる潤ちゃん。






それとさ、彼女まだ居るよ?



じぃーっとこっち見てるよ?



しかもなんかちょっと目がつり上がっちゃって、すこーし怖くなっちゃってないかな。ハハ。。。



すんごく見た目かわいいんだけど・・・



うん、なんとなくだけど



この状況まずいよねっ!!!






「あのですね、潤平はん。彼女怒ってるっぽいよ?」



離れた場所にいる彼女の方に目配せしながら、ははっ!ってあたしまで乾き笑い。



どーしたもんか。これは良くないパターンだ。



さっきまでお天道様の下でるんるん気分が台無しだ。




「彼女、なんでねーの?」



特別方言があるわけじゃないのに、普段使いそうもない言葉遣いが訳もなく出てくる。なんだか、私までこの緊迫した空気に冷や汗もんです。



そして、何も言わない目の前の男にイラっときそうにもなる。



おい。潤さん、なんとか言いたまえ!!







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