大人恋愛部
「あ、ごめん。気が付かなかった。」

驚いて取り繕った私に望月君は変わる事なく微笑みかける

「いえ。こちらこそ誘ったのに遅れてしまってすいません。
何か考え事ですか?すごい怖い顔してましたよ?」

彼の言葉に武藤に昼間言われた
「般若みたいな顔して…。」
を思い出して慌てて眉間をさすった

いけない
いけない

「あぁ、まぁね。色々あって。
それよりも、お腹空いたね。どこに行こうか?」

あからさまに話をそらした私に何を言うでもなく
望月君はスマートフォンを取りだした

「移動中に色々調べてたんですけど、星野さんは何が食べたいですか?」

「うーん…。お昼はカレーだったからなぁ。」

「カレーですか。俺はパスタです。お弁当ですか?」

「ううん。社食。入社以来ずっと社食にお世話になってるの。」

「いいなー。俺はコンビニか近くのカフェですね。もう食い飽きた。
んー…じゃあ、和食はどうですか?」

望月君がお店のホームページを開いた画面を私に見せた
画面には「お野菜しゃぶしゃぶ」と書かれ
美味しそうな野菜とお肉の写真がアップされている

うん
値段も手ごろだし
最近野菜不足だったから良いかも

「良いね。ここにしよう。」

二つ返事で了承した私に望月君は
「じゃあ、行きましょう。」
といって歩き出した

ふとすれ違った女子大生のグループと目が合う
彼女たちは何やら囁き合って小さく笑いながら通り過ぎていく

なんなの?
感じ悪い…



……
彼女たちから見たら私たちはどう見えるんだろう

そっと隣を歩く望月君を見る

落ち着いたブラウンの髪色に整えられたヘアスタイル
グレーのレザージャケットに濃紺のスキニ―パンツ
美容師と言う職業に似合うオシャレなファッション

方や私は
チャコールグレーのパンツスーツ

私服とスーツ…それだけでも差がある気がするのに

今日は仕事中髪は邪魔になるからと夜会巻きにしてしまっていた

待ち合わせ前に姿を確認した時
やっぱり髪を下ろしておくべきだったかなー

それでも唯一の救いは
インナーはブラウスではなく
丸襟で鎖骨がキレイに見えるラメニットである事だ

これなら
幾分雰囲気も軽く見えるはず…

いや見えてほしい!

「?俺の顔に何かついてます?」

「え?!あ、いあや…ごめん。不快にさせちゃったかな?」

慌てて謝罪した私に望月君は

「なんかデジャブですね。街コンの時を思い出します。」

と笑顔を見せた

その笑顔に私の胸が小さく音をたてた気がした…

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