好きとごめんのその先に


「俺はそれでいいです。婚約破棄はしません」



先に口を開いたのは、忠見さん。



どこからそんな余裕が出てくるの。



わたしが揺れることなんてないのに…



「だったら俺もそれでいい。もちろん、ゆりちゃんが嫌なら断るけど…」


「…奏多…」



奏多まで賛成?



一体どうなっているの。



わたしが忠見さんと付き合ってもいいって、そういうことなの…?





「ゆりちゃんの気持ちは俺にだけにあるって、分かってるから」



わたしの目を見て、奏多が言った。



普段なら笑ってしまうようなその言葉が、今は泣きそうなくらいにわたしの胸を熱くする。





その揺れない目を見て、決心した。



「…分かった。それでいい」
< 74 / 428 >

この作品をシェア

pagetop