好きとごめんのその先に


―――結局、忠見さんはその後すぐに帰った。



『これから仕事が早く終わった日はこっちに来させてもらうよ』って、そう言い残して。



…放課後が憂鬱だ。







「奏多」



帰ろうとする奏多を、門のところで引き止めた。



「…いろいろとごめんね」


「はは、俺のことは別にいいよ。大変なのはゆりちゃんの方だ」



立ち止まり、笑ってそう言ってくれる奏多。



…なんて、優しい人なんだろう。



歳下なのに、わたしよりも広い心をもっている。



例え本心じゃなかったとしてもこんな言葉が出る奏多を、心から尊敬する。






「奏多。…お誕生日おめでとう」



遅くなった言葉を、奏多の目を見つめて贈った。
< 76 / 428 >

この作品をシェア

pagetop