Re:alism
さっきの笑顔は何処へ行ったのやら───今までにない冷たい瞳と低い声


「…何…だよ急に」


その急変した態度には栃村の手からも力が抜けた


「離せ」


祝詞さんの大きな手が、栃村と私を引き離した



───殺気を感じた


それは栃村も同じらしい



「…チッ」


小さく舌打ちをしてから暗闇へ消えていった



「…大丈夫?」


呆然と立ち尽くす私の視界にアップで現れた祝詞さんの優しい表情


「だ…ぃじょう…ぶ…」


上手く言葉が出てこない


先程のあの表情が忘れられないからだろう



「なら良かった」


笑顔で言われた途端安心してか、全身の力が急に抜けその場に崩れた



「どした?!」


「あ…何か安心して…恐かったから───…」



「そりゃ恐いわーあいつ俺のことオッサン呼ばわりだもん!ったく今時の青二才は…」



確かに栃村も恐かったけど


「…いつもの祝詞さんに戻ってよかった────」



あんな祝詞さん、出来ればもう見たくない


…だって


「?俺は俺だよー?」


「…そうですねっ」



あなたは笑顔が似合うから


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