約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



何時ものように、『何言ってんだよ。花桜』なんて
敬里は笑い飛ばしながら突っ込んでくれると思ってたのに、
目の前のアイツは、じーっと私を睨みつけたまま。


「やっぱ、お前熱で頭イカレタ?
 オレ……マジ心配したんだぜ。

 雨ん中、道路で熱だしてぶっ倒れてるお前見つけて。
 しかもあんなとこで何やってんだよ」



えっ?


何?




私の願望が見せる、ひと時の夢じゃないの?



布団の中から手を出して、古典的ながら抓った頬は
しっかりと痛みを伝える。


夢じゃないの?



「人が真面目に話してんのに何ふざけてんだよ。

 頬抓って。

 今の文明のレベルでタイムトラベルなんて出来るはず
 ねぇだろ。

 花桜はもう少し休んでな。

 祖父ちゃんには、まだ稽古は無理だって言っといてやるよ」



それだけ一方的に聞き終わると、敬里は、
私の部屋を出て行った。


確かに……痛みを感じた……。
だったら……この世界は夢じゃない。



……帰って来たんだ……。



あの辛かった幕末から。



瑠花も舞も帰ってこれたのかな?
慌てて、ベッドから体を起こすとだるさが際立つ。


それでも這い出して携帯電話を探すものの、
使い慣れたそれは、近くに見当たらない。

そのまま家電の子機の傍まで歩くと、
かけ慣れた電話番号をプッシュしていく。


まずは舞。


いつもは呼び出し音がなる、
その電話番号はすぐに機械音声へと変わる。




『お客様がおかけになりました電話番号は現在使われておりません。
 もう一度電話番号をよくお調べの上お電話ください』



えっ?
何?


慌てて受話器を置くと今度は瑠花の家へと電話をかける。


コールが鳴り響き暫くすると、
聴きなれた声が受話器の向こう側から聞こえる。




「もしもし。

 おばさん?ご無沙汰しています。
私、山波花桜です。

すいませんが瑠花ちゃんいますか?」



懐かしい声を受けて軽い気持ちで繋げた会話。

すぐに……瑠花の声がきける。

そう思っていたのに、帰って来た言葉は、
想像もしないものだった。

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