約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



「ご先祖様なんです。」



ふと吐き出すように零した言葉に
山崎さんは、驚いたように私と山南さんの顔を覗き見る。
 



「こんな可愛い、曾孫がおるなんて
 山南さん、何時子供作ったんや」

「もうっ、山崎さん。
 そんな言い方酷すぎます。
 しかも曾孫なんて一言も言ってませんって。

 私、本当に真剣なんですよ」


ほっぺを膨らませて睨みつける。


「嘘嘘っ。
 花桜ちゃんの持ってる沖影って言った?

 あれを見た時から薄々気付いてた。

 もしかしたら、山南さんも気づいとったかも知れん」




次の瞬間、山崎さんは突然真剣な表情に切り替わる。



「……山崎さん……」


「山崎さんって……。

 んな他人行儀な。
 違うやろ、そこはなっ。
 こう感動的に、蒸~ってオレに抱きついてくるとこやろ」



またすぐにコロリと変わって
何時ものお調子者に変化する。




「烝なんて言ってあげません。
 山崎さんで十分です」


またほっぺを膨らませて怒ると

「勘忍・堪忍」

なんて……言い出して。





「ほらっ、怒鳴ったら山南さん起きるで。
 山南さんの怪我はオレに任しといたらええ。

 花桜を悲しませることはせーへんから」




山崎さん……。


烝の言葉が、凄く優しくて
……柔らかい……。




山南さんを見つめる、私の唇に突然重なった
柔らかい感触。





烝のドアッフ。





空気を求める魚のように、
息を吸いたくて、パクパク口を動かす私。



真っ白になった。





なのに……何一つ、抵抗すら出来なくて、
その甘い吐息に自分自身が驚くばかりで成されるがままで。



「花桜ちゃん貰い。

 山南さんが保護者かいな。
 
 こりゃ必死に、山南さんの左腕治して恩うっとかな、
 こんなことさせて貰えへんやろなー」



解放された途端……一人、呟く山崎さん。



誰かとキスしたのなんて初めてだったのに。







「もうっ。
 山崎さんっ!!」


「おぉ、怖っ。
 ほな、オレは監察の仕事に戻るわ。

 山南さんのこと頼んだで」





そう言って逃げ足だけは素早い山崎さん。




脳裏に浮かんでくるのは、
先ほどまでの唇の感触。
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