約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く


そのまま山崎さんは私に合図を送って、
近藤さんの元へと近づいていく。




「山波君、何故君が?」

「伝達で走って来てたところ、
 オレがそこで保護しました」


シレっと紡ぐ山崎さん。


「今、島田に副長の元へ行かせました。
 池田屋です」


静かに告げられた途端、
近藤さんは驚いたような表情を見せた。



「山波くん……」

「近藤さん、池田屋なんですね。
 場所がわかったら、後は……」



近藤さんの隣、
沖田さんは自分の刀にゆっくりと手を伸ばした。



「池田屋に向かう。
 山波君、君は此処に……」

「嫌です。
 私も行きます」




近藤さんも私を置いて行こうとする。




それを断固、跳ね除けるように言い放つと、
沖田さんがゆっくりと近づいてきてくれた。



「彼女の腕も多少は使えるでしょう。
 自分の命は自分で守るんですよ。
 どうしても危ない時は僕が助けてあげますよ」



そんな風に笑みを携えながら。




だけど……彼は倒れる。




沖田さんも瑠花から、その未来を聞かされてると思うのに
どうしてそんな風に笑ってられるんですか?




そう思いながら、
私は沖田さんをじっくりと観察していた。





咳はしてない……。





だったら、彼が倒れる原因は
この湿度?
暑さ?






蒸し暑さを感じる空気は、
額のハチマキを汗でずらしていく。



首筋の汗を思わず、着物の袖で拭いながら
池田屋のへ方へと向かった。
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