約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



義助さんに手を引かれて、
走り続ける山道。




道のない暗闇の中、
夜道を走り抜けていく。








「舞さん、すいません。
 後、少し。
 もう少しの辛抱ですから」





時折、後ろを振り返りながら
義助さんが私を気遣う。




「大丈夫です。

 私、ちゃんと走りますから」 





その山道を走り抜けると
晋作さんが、私を出迎えてくれた。



晋作さんは……何時もの旅装束。
行商の出で立ちで、私たちを待ち続ける。


「舞、今日のお前は薬屋の女房だ」


そう言って風呂敷の中に
支度された着物へと着替えさせられる。


木の陰に隠れて慌てて着替え終わると、
一行は、京に向かって山道を歩いて行った。




京に行く道すがら
風の噂が教えてくれた。



どこかで建設中の英国の大使館が
焼失したのだと。



深くは聞かないけど、晋作さんと義助さんたちが
もしかしたら絡んでるのかななんて思いつつ……
その心を隠したまま今を生きることを優先させる。



晋作さんと義助さんが
どんな人だとしても私は構わない。




この二人は、
私にはとても優しい瞳を
見せてくれるから。






この二人が居るから
私が生きていられる。






それは紛れのない事実だから。

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