約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



「たぁーっ」





声をあげて、その木刀の方へと
向かっていく。





何度か打ち合った後、
私の首筋で、相手の木刀の切っ先が
ピタリと止まる。






「参りました」




体制を立て直して、
一礼すると、ゆっくりとその人顔を見あげた。





「なぁ、お前。
 剣するの?
 
 お前のって、何流?」




犬の耳としっぽがついてそうな
様子で、私の近くに駆け寄ってくる藤堂さん。



「おぉ、すげぇーな。
 
 生意気なだけだとおもってけど、
 違ったんだな」



隊士たちが、好き勝手に
感想を述べながら私を取り囲んでくる。



「何流って言われても
 わかりません。
 
 お祖父ちゃんから教えて貰ったものだから。

 えっと、斎藤さん。
 手合せ、有難うございました」



お礼を述べると飲み物の一切を引いて、
次の仕事へと手を付けていく。





楽しかったー。




やっぱり木刀を振ってる時が
一番楽しいかも。




ちゃんと練習しなきゃ。
私自身を守るために。



瑠花と舞を助けるために。



舞、ちゃんと
見つけ出すから。



今はまだ屯所の中から出られない。



隣にいるはずの瑠花にすら、
あの日から会えてない。



ここで朝から晩まで、
一日中、働きっぱなしの毎日だけど
ちゃんと信頼を勝ち取って屯所の出入りを
自由にできるようになるから。



そしたら……
ちゃんと迎えに行くから。



見つけ出すから。




だから今は……待ってて……。


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