約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く


銃刀法違反にならないように、
所持の許可証まで布の中から
姿を見せたその重い剣。




「これ」

「私の亡き父上から譲り受けた
 先祖代々の宝だ。

 何でも我が一族の御先祖様の形見だそうだ。

 ご先祖様の一人、総助【そうすけ】さまが残した書によると、
 総助さまには、物心ついた時から父上はおらず、
 母上と、この家宝の剣だけが支えだったという。

 総助さまにとって、この家宝の剣は
 亡き父上とを繋げる唯一の存在。


 そして空。

 空だけは、何時の世でも父上に繋がっているのだと
 この家宝の剣と共に代々伝わる書には書き記されていた」



そういいながら愛しそうに
家宝の剣を見つめるお祖父ちゃん。




「お祖父ちゃん。

 そんな大切なもの、私、受けとれないよ。

 御先祖さまがずっとずっと大切にしてきた、
 一族の宝物なら、ちゃんとお祖父ちゃんが持ってたらいいでしょ」


その剣を受け取ったら、
お祖父ちゃんが消えてしまいそうで
必死に言葉を探す。




「いやっ。
 これは……お前のもんじゃよ。

 ご先祖様と話して決めた。
 この剣に恥じぬ試合をしてきなさい」




お祖父ちゃんは、そう言うと、
私にもう一度、その剣を握らせた。



ずっしりと重いその剣を、
手にして私は自室へと戻る。


自分の部屋のベッドの上に置くと、
朝食を食べて支度を整えて
仏壇にゆっくりと手を合わせる。





静かに合掌してお祈りしていると、
背後で、お祖母ちゃんの声が聞こえた。




「朱里(あかり)さま、
 どうぞ、孫の花桜をお導きください」




ゆっくりと私の隣に座って
合掌して、念仏を唱える。





「花桜、
 そろそろ時間だろ」




玄関の方から聞こえてくる敬里の声に
お祖母ちゃんが、
念仏を唱える手を休めて私の方を見る。




「行ってきます」






家族に見守られて迎えに来てくれた
敬里と共に家を後にする私。






空は何処までも高くて優しかった。

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