約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く


ったく……。




悲しいのに、
何も出来ない自分が悔しくて。



でも……私は、
見守るって決めた。



鴨ちゃんの覚悟、受け止めるって決めた。



だから……ちゃんと笑って、
この時間も歩いて行かないと。



お揃いのだんだら羽織を身に着けて、
藩からの命令を待ち続けるその間も、
邸内の不穏な空気はおさまる気配がない。



近藤さんラブリーの鬼の誰かさん。


その人の射すような視線が、
鴨ちゃんを突き刺しているのがわかる。



そんな視線すら、
鴨ちゃんは気づかぬふりで。




その殺気の視線の意味は、
私が一番わかってるから。




でもね……土方さん。


新選組の為の礎になるために、
わざと嫌われ役をかってでてる鴨ちゃんの本性を知って、
それでも斬りたいと思う?


見つめる先には、
鴨ちゃんが無心に酒を飲み続ける。


鴨ちゃんの周囲には、
近藤さん、土方さん、山南さんが
難しい顔をしながら共に同じ部屋で座って。





……何でそこまで出来るのよっ!!……。






それでもその場所に居続ける
鴨ちゃんの未来。



鴨ちゃんの姿を見続けることが出来なくて、
最後のお酌を終えると、その場所を離れる。





……ごめん……鴨ちゃん……。



その場所を離れて、炊事場まで一気に走っていくと、
炊事場の壁に握りこぶしを何度かぶつけながら涙を流す。


声をあげて泣く私に
花桜が背中をさすってくれた。

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