約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く



志【こころざし】を叶える為。

ずっとずっと、
あの二人はあの当時からそんなことばっかり言ってた。



二人が居なくなった故郷で海を眺めながら過ごした私は、
いくつもの四季の景色を見送って二人を探す旅に出た。


初めての一人旅。



路金なんてそんなに持ってなくて、
びくびくしながら寝た野宿を繰り返し、
ズルズルに向けた足を庇いながら目的もなく、
二人を探して彷徨い続ける。



何度か行き倒れかけて、
いろんな人に助けて貰った。



そうして……ようやく再会出来た晋兄と義兄。



「やっと逢えた……」



二人の顔を見た途端に視界が歪んで、
そのまま真っ暗くなった。


次に目が覚めたら、
そこには心配そうに私の額に手を伸ばす義兄。


そして座り込んで片膝を立て、
刀を肩に立てかけながら目を閉じてる晋兄。



『舞。

 君はどうしてこんな無理をするんだ?』


ただ心配そうにまっすぐに私を捕えて説教を始める義兄。
それとは正反対に、私の頬に触れた後、頭の上に拳骨をふらす晋兄。


旅の疲れで高熱が出て一週間以上、
床に伏せたままだったのだと後から知った。


帰れって言われても、絶対に帰るのは嫌だって、
我儘を言い通して、そのまま晋兄たちとのところに居座った私。


そして事件が起こったんだ。









事件……。

湧き上がってくる記憶の渦に翻弄されながら、
時折、ズキンと痛みが増す頭に手を添えながら考える。



なんだっけ……。


『八月十八日の政変』


脳裏に……優しい声が聞こえる。

その声は……あの時、
出逢った瑠花さんの声に似ていて
その脳裏の片隅に映る、私と花桜さんと瑠花さん。

そして名前の知らない男。

四人は書物が沢山ある場所で、
見知らぬ服を身にまとっていた。




座り込んで息を整えていると、
再び先ほどまでの頭痛が消えていく。




八月十八日の政変?




あれ?
何?あの映像。

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