華麗なる偽装結婚


人垣を掻き分けて一人の女がこちらへと歩み寄ってくる。


「…紫織さん。

……いやいや、驚かせてすみませんな。
わしも今、初めて聞かされて驚いておりますのじゃ。

あ、…怜。
紹介しよう。
お前の婚約者の……
…如月 紫織さんじゃ」


…は。

阿美子と俺はその女とじいさんを交互に見た。


阿美子を紹介した直後に婚約者だと言い切るじいさんを睨みながら言う。

「……ちょっと待ってくれよ。
俺はだから、この、阿美子と………」


まさか何事もなかったかのように終わらせてしまうつもりなのか。


「お前が何を思っていようと、未来の花嫁はこの、紫織さん以外には認めん。

…阿美子さん、でしたな。
すみませんがこれはすでに決まっておる事なのじゃ。

紫織さん、嫌な気持ちにさせてすみませんな。
孫を甘やかしたわしの責任じゃ。

あなたとの結婚の約束は、必ず守らせますぞ」





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