華麗なる偽装結婚
彼は私をキュッと抱き締めながら頭に優しくキスを落とす。
「…あんまりヒヤヒヤさせないでよ。
思わず佐々木くんに電話したじゃないか。
焦って取り乱して、社長の威厳も何もあったもんじゃない」
「え…達郎に…?」
――『無事に北海道に着いたら、の話だけどね』
………達郎。
知っていたのね…?
私はクスッと笑った。
「取り乱したの?あなたが?」
「何が可笑しいんだ。
大体阿美子のせいだからな。
この罪は重いぞ」
「どんな罰が?」
「拘束二十四時間、毎日、の刑だよ」
「ふふっ。何て事ないわ。
私はあなたの側から離れる予定はもうないの」
「…阿美子」
「…え」
「愛してる。結婚しよう」
「…………。うん。
私も、好きよ」
ゆっくりと唇を重ねる。
もう偽りはない。
私達はもう一度、結婚する。
本物の夫婦になる。