華麗なる偽装結婚


もう、駄目。
抵抗しきれない。

いつもそう。
結局私は彼の言いなり。

その目で、その指で、誘われるままに反応してしまう。




――「ねぇ…、ルームサービスでワインでも頼む?」


彼が私の首筋に唇を這わせながら訊いてくる。


「…ワイン?

………社長、お忘れですか。

今日は5時から佐倉会長を交えての商品開発研究発表会ですよ」


私は吐息を押し殺しながら彼に伝えた。


すると彼の動きがピタリと止まった。

「…は。…今日だっけ」


「はい。
佐倉会長の都合が今日しか空かなくて」





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