華麗なる偽装結婚
今更、陸に全てを奪われる訳にはいかない。
陸や叔父や祖父のために会社を守ってきた訳じゃない。
――「いや、尾上社長。
知らないも何も……。
自分の結婚の事ですよ?
……分かっているに決まってるじゃないですか。
当日は是非ご出席下さい。
俺の花嫁をご紹介致しましょう」
俺はにこりと笑うと驚きを隠したままコーヒーを啜った。
「は、参りましたな。
一本とられるとは。はははは。
ええ、是非ともお会いしたいですね。
世紀のプレイボーイの花嫁となられる幸運な女性に。
世の美女達が歯噛みして悔しがりますよ」
――俺はその言葉を聞きながら一人の女の顔を思い浮かべていた。
彼女なら祖父も納得するほどの最高の花嫁を演じてくれるに違いない。
父をそんな目に合わせた一族のやつらを許さない。
どんな手を使ってでも、逆に全てを奪ってやる。